IWGとは
International Working Group on Women and Sport(略称IWG:国際女性スポーツワーキンググループ)は、1994年にブライトンで開催された第1回世界女性スポーツ会議開催の際に設立された。IWGはスポーツにおける女性の地位、役割の向上を目指す政府組織と非政府組織が統合して設立したグループ。
IOCとは
International Olympic Committee(略称IOC:国際オリンピック委員会)は、1894年にピエール・ド・クーベルダン男爵の提唱により設立された。スイス・ローザンヌに本部を構える。近代オリンピックを主催する非営利団体。
IWG世界女性スポーツ会議
第1回世界女性スポーツ会議
1994年5月、イギリスのブライトンで「第1回世界女性スポーツ会議」が行われました。この会議は、各国のスポーツ政策の関係者280人が集まった女性とスポーツに関する初の国際会議でした。会議の中で、スポーツのあらゆる分野での女性の参加を求めた『ブライトン宣言』が採択されました。宣言では、行動計画を指導する10の原則・原理が提言されています。
日本では、2001年に「アジア女性スポーツ会議」が開催された際に、日本オリンピック委員会が署名し、2006年には熊本県と熊本市が地方自治体として初めて署名をしました。
第2回世界女性スポーツ会議
1998年5月、ナミビアのウィンドホークで「第2回世界女性スポーツ会議」が行われました。この会議には、74ヶ国、400人に及ぶ代表者が出席し、1994年第1回世界女性スポーツ会議で採択された『ブライトン宣言』の原則を再確認し、決議文『ウィンドホーク行動要請』が採択されました。この決議文は、国内及び国際スポーツ組織、政府、公的機関、学校、企業、教育、女性組織など、スポーツに関わるすべての人々に対して、女性がスポーツに参加できる機会を拡げるため、行動を起こすことを世界に呼びかけました。
『ウィンドホーク行動要請』
第3回世界女性スポーツ会議
2002年5月、カナダのモンテリオールで「第3回世界女性スポーツ会議」が開催されました。会議には世界97ヶ国550人以上の代表者が出席しました。この会議はIWGの支援の下でカナダ政府(スポーツ・カナダ)主催し、カナダ女性スポーツ振興協会(CAAWS)が進行を担当しました。
すべての女性と女子がニーズと能力に応じたスポーツや活動に参加できる方法についてディスカッションが行われ、変化を起こすために、1994年の『ブライトン宣言』や1998年の「ウィンドホーク行動要請」を各々の地域や国で実行するようにという課題が与えられました。
世界中の多くの人々や組織がスポーツや身体活動に関わる女性・少女に対し、より公平な機会をえるための変化をもたらすために、変革に関する有効な戦略とツールを統合した「モントリオール・ツールキット」が配布されました。
第4回世界女性スポーツ会議
2006年5月、日本の熊本市で「第4回世界女性スポーツ会議くまもと」が開催されました。会議には、100の国と地域から700人の代表者が参加しました。この会議は、アジアで初めて行われた会議であり、「変化への参加」をテーマとし、女性とスポーツを取り巻くさまざまな課題が話し合われました。また会議の様子が、熊本市内に設けられたスクリーンによって生中継され、これまで政府や国連の関係者間だけで話し合われていた議会の様子が、初めて市民に広く公開されました。開催中はワークショップも行われ、スポーツが果たす役割、発展途上国でのスポーツ推進にはどのようなプログラムが必要かなど、さまざまなテーマが話し合われました。
第5回世界女性スポーツ会議
2010年5月20日~5月23日、オーストラリアのシドニーで「第5回世界女性スポーツ会議」が行われました。オセアニア地域で初めて行われました。安全にスポーツに参加できる環境は、女性のスポーツへの参加、成功を促進、そして女性の可能性を最大限に引き出すことにつながります。本会議はスポーツおよび日常的運動における女性の地位、また参加機会を向上させる目的の為に開催されました。会議には、国際連合をはじめ国際オリンピック委員会、各国オリンピック委員会、国際スポーツ組織、政府機関、学者、アスリート、コーチなど約500名が参加しました。
Report on the 5th IWG World Conference on Women and Sport(289KB)
第6回世界女性スポーツ会議
「第6回世界女性スポーツ会議」は2014年6
月12日~14日、フィンランドのヘルシンキで開催されました。フィンランド政府の全面的なバックアップ、国際オリンピック委員会(IOC)のサポートを得て、約100の国と地域から800人以上が参加し、過去最大規模の会議となりました。
開会式では、IOCのバッハ会長、国際パラリンピック委員会(IPC)のクレイヴァン会長がスピーチを行うなど、豪華で熱気あふれるものとなりました。
第1回会議の決議文である「ブライトン宣言」を加筆、アップデートし、2020年までに意思決定権があるポジションの40%を女性にするべきだという提言を含む「ブライトン・プラス・ヘルシンキ2014宣言」を採択しました。
Helsinki calls the world of sport to LEAD THE CHANGE, BE THE CHANGE(582KB)
ブライトン+ヘルシンキ2014宣言(631KB)
第7回世界女性スポーツ会議
「第7回世界女性スポーツ会議」は、2018年5月17日~20日、ボツワナの首都ハボローネで開催されました。81の国と地域から約926人が参加した第7回会議では、以下の6つのテーマについて議論がなされました。
①より良く生き、より良くスポーツをする
②安全な場所:スポーツ界の女性を守る
③物語を語る:女性スポーツを発信するためのメディアの活用
④スポーツを通じて全ての人々を歓迎し、エンパワーメントする
⑤垣根を超えるスポーツ:文化を超えた連携
⑥女性がリードしよう:リーダーシップの世界を変える
また、日本政府の要人としては初めての参加となった鈴木大地スポーツ庁長官が、日本における女性スポーツの現状と課題、アクションについて基調講演を行いました。さらに、歴代共同議長によるディスカッションでは、「東京2020」に向けた日本のアクションが、世界中から注目されていることが明らかとなりました。
第7回会議のレガシーとして、メディア(Media)、説明責任(Accountability)、代表者(Representation)、実践に向けた研究(Research
to Practice)、コミュニケーション(Communication)といった5つの柱から、ジェンダー平等なスポーツ文化を構築していくために、具体的なアクションを起こし、モニタリングをしていく必要があることをうたった「IWGボツワナビッグ5(IWG Botswana Big 5)」が採択されました。
「IWGボツワナビビッグ5」 日本語訳(233KB)
「IWG Botswana Big 5」 Original(565KB)
※「Big
5」とは、“ハンターが捕獲するのが難しく、畏敬の念を表す動物Top5” のことです。 アフリカ各地域により「Big5」は異なりますが、ボツワナでは、「ライオン、ゾウ、サイ、レパード(豹)、バッファロー」を指します。これら「Big5」の動物の特徴に例えて、決議文の5つのワードを表現しています。
第8回世界女性スポーツ会議
開催日時:2022年11月14日~17日
開 催 地 :オークランド(ニュージーランド)
概 要:「第8回IWG世界女性スポーツ会議」詳細はこちら。
IOC世界女性スポーツ会議
第1回IOC世界女性スポーツ会議
1996年、スイス・ローザンヌで「第1回IOC世界女性スポーツ会議」が開催されました。初のIOC主催となる世界女性スポーツ会議には、多くの国の代表や非政府組織、政府組織が参加しました。今後、スポーツ政策に関わる団体や政府関係者と協力し合い、女性とスポーツに関わる様々な課題にIOCがイニシアチブを取り進めていくことを表明しました。
第2回IOC世界女性スポーツ会議
第3回IOC世界女性スポーツ会議
2004年3月に、モロッコのマラケシュで、「第3回IOC世界女性スポーツ会議」が行われました。会議では、「第2回IOC世界女性スポーツ会議」を振り返り、決議された内容に対し、女性とスポーツへの取り組みが遅れている現状が述べられました。これに対し、第2回会議で決議された、国際スポーツ競技団体、各国オリンピック委員会、各国競技団体およびその他のスポーツ団体に意志決定機関に少なくとも20%の女性代表者をおくというという目標を、引き続き達成することが再確認されるなど新たな戦略が表明されました。
第4回IOC世界女性スポーツ会議
2008年3月8から10日にかけて、ヨルダンの死海で、「第4回IOC世界女性スポーツ会議」が行われました。IOC女性スポーツ委員会委員長Ms.
Anita
DeFrantz氏の開会式の挨拶で「2008年の北京五輪で女性の参加が45%となる。もうIOCが女性のために何をするかが問題ではなく、女性がIOCやスポーツ界全体に対して何ができるのかが問題なのである。もっと責任を受け入れ、スポーツ参加の機会を追及する女性が必要であり、そのスポーツの機会を増やすためにメンター(助言者)として行動する女性(男性も)がもっと必要である。」という印象的な言葉がありました。またIOCのロゲ会長は、女性の役割をスポーツへの愛情を子どもたちに与える母親の役割として例え、その重要性を強調しました。
IOC女性スポーツ委員会委員長は、スポーツ組織の意思決定機関における女性の比率に触れ、女性が選ばれるにはどんな期待感が存在し、それを満たしているのかどうか、それぞれのポジションに選ばれるために何を満たせばよいのか、選ばれる能力はあるのか、もしないならばその条件を満たしている者が選ばれるように援助することなど行動を起こすことを呼びかけました。
1995年、IOCは1994年に制定された「ブライトン宣言」に署名しました。その後、IOC内に女性スポーツワーキンググループが設立され、次々と女性スポーツの改革を行ってきました。キプロスオリンピック委員会理事はこのことを紹介し、今後の女性のスポーツへの参加を増やすには、教育が重要であり、体育の時間の増加、オリンピック教育を通常の学校カリキュラムに盛り込むことなどを提言しました。
この会議では、これまでとは異なり、決議文だけではなく、アクションプラン(行動計画)がつけられ、具体的な内容が加えられ閉会しました。
第5回IOC世界女性スポーツ会議
2012年2月16~18日、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで、「第5回IOC世界女性スポーツ会議」が開催されました。この会議では、世界130以上の国々より、国内オリンピック委員会、国際競技連盟、非政府組織、大学などのスポーツ関連組織の代表者800名以上が参加し、スポーツ界における女性の参加促進を促す方法について様々な議論が行われました。
奇しくも2012年はアメリカで高校、大学のスポーツプログラムを女性に開放することを定めた「タイトルIX」の制定40周年と重なり、「一緒に、より強く:スポーツの未来(Together
Stronger: The Future of Sport)」をテーマに活発な討論が進められました。
1日目は5大陸ごとに総会を設け、各地域のオリンピック委員会から女性スポーツに関する事例や活動報告と質疑応答が行われました。2日目は、「スポーツ界の女性リーダーシップ、進歩に向けたパートナーシップ、医学の重要性、教育を通じた女性・女子の支援」などのテーマで、3日目は、「ロールモデルとリーダーシップ、スポーツビジネス、女性スポーツとメディア」などのテーマでワークショップが行われました。
総会の中で、国際オリンピック委員会よりジャック・ロゲ(国際オリンピック委員会会長)は、「様々な理由(経済的・政治的・社会的理由)で女性のスポーツ参加が遅れているが、それを改善していかなければならない、
IOCは職員の20%を女性にする計画であり、また資金の94%を普及活動や発展途上国に費やしている。女性のスポーツ進出をサポートするメンター(助言者)を増やしていかなければならない」と意見が述べられました。また、アニタ・デフランス(国際オリンピック委員会女性スポーツ委員会代表)は、「スポーツは生まれながらにして持つ権利(Birth
Rights)であり、この大切な権利を子どもたちの世代に受け継いでいかなければならない」と述べました。
さらに、オリンピックにおける女性アスリートの参加は、1900年のパリオリンピック(2.2%)から、2008年の北京オリンピックでは(42.4%)まで向上したことが報告され、女性の意思決定ポジションの参加についても、281
の組織が「ブライトン宣言」の採択、署名を行ったことがIWGに報告され、国際スポーツにおける女性リーダーシップの重要性が強調されました。
2月18日の閉会式では、ジャック・ロゲ氏(国際オリンピック委員会会長)は、今後IOCは、女性スポーツの更なる発展のために以下の項目を実現するとし、同会議の成果として「ロサンゼルス宣言」を発表し閉幕しました。
IOCサブ・リージョナル女性スポーツセミナー
IOCサブ・リージョナル女性スポーツセミナー勧告声明文(PDF)
2003年10月21日から22日にタイ・バンコクで行われたIOCサブ・リージョナル女性スポーツセミナーで発表された勧告声明文の和訳です。